清津峡

清津峡

清津峡は黒部峡谷(富山県)、大杉谷(三重県)と並ぶ日本三大峡谷の一つです。この壮大な景観は1600万年前の海底火山活動と500万年前の地下マグマの流入によって形成されました。特に独特なのは柱状節理と呼ばれる岩肌。これはひん岩が冷えて固まり、体積が収縮することでできました。この岩壁は、硬いがもろく崩れやすい特性があります。
清津峡は国の名勝・天然記念物にも指定されており、清津川の急流とその巨大な岩壁が作り出すV字型の大峡谷は、訪れる人々に深い感動を与えます。2018年には、中国の建築家集団「マ・ヤンソン/MADアーキテクツ」によって大地の芸術祭でリニューアルされ、エントランス施設も新設されました。ここでは、自然の「5大要素」(木、土、金属、火、水)を活用したアート作品が展示されています。
また、清津峡渓谷トンネルが設けられており、安全に峡谷の美を楽しむことができます。このトンネルは足湯やカフェも併設しており(冬期は休業)、観光客には多角的な楽しみ方が提供されています。
長い歴史と多彩な自然美が織りなす清津峡は、日本が誇る景勝地の一つです。その美しさとダイナミズムは、一度訪れたら忘れられない印象を残すでしょう。

基本情報

名称
清津峡 (きよつきょう)
所在地
〒949-8433 新潟県十日町市小出癸2119-2
アクセス
●車の場合: 関越自動車道「塩沢・石打IC」より国道353号線へ車で約25分
●鉄道の場合:清津峡入口バス停まで(下車後徒歩約30分)
JR東日本「越後湯沢駅」より森宮野原行き急行バスで約25分、「清津峡入口バス停」下車 
JR飯山線「越後田沢駅」よりバスで約20分、「清津峡入口バス停」下車
※越後湯沢駅発のシャトルバス運行(事前予約制/運行日に注意)
※冬季間 雪国豪雪ライナーの乗り入れあり(越後湯沢ー松之山温泉をつなぐ予約制バス)
駐車場
●駐車場/無料(第一駐車場45台、第二駐車場50台、第三駐車場60台)
●大型バス:7台
営業時間
●8時30分~17時(最終受付 16時30分)
※冬期間は、積雪状況により、休坑または時間短縮をする場合があります。
※混雑緩和のため繁忙期は事前予約制となっています。
料金
【通常】
●大人 1,000円(「2023年の越後妻有」共通チケットお持ちの方 500円)
●小中学生 400円(「2023年の越後妻有」共通チケットお持ちの方 350円)
連絡先
電話番号:025-763-4800
FAX番号:025-763-4800
公式サイト

マップ

詳細情報

▶清津峡の誕生
1600万年前海底火山の噴火活動により、火山灰が海底に降り積もる。化学変化で緑色が変色。緑色凝灰岩(グリーンタフ)※1の形成。500万年前緑色凝灰岩の地層に地下からマグマが流入。冷えて固まってひん岩※2ができ、冷える際体積が収縮して、柱状節理※3という構造になった。その後、地表の動きが活発な時代を迎え、海底が隆起して陸地の山となり、清津川によって削られ、地下のひん岩の柱状節理が谷底に顔を出した。この谷間が深くなり、現在の清津峡ができた。清津峡の岩崖は柱状の岩の寄せ集めで(六角形の鉛筆を束ねたようなイメージ)一枚岩ではないため、岩は硬いが、もろく崩れやすい。(下記画像参照)
※1 凝灰岩(ぎょうかいがん)…火山灰が固まって岩になったもの。
※2 ひん岩…マグマが冷えて固まってできた火山岩の一種。安山岩た玄武岩も同じ仲間
※3 柱状節理(ちゅうじょうせつり)…マグマが冷えて固まる際、収縮して四〜六角形の柱状の岩になった。

▶清津峡の歴史
温泉の存在は、今から約300年前の元禄年間にはすでに知られていた。そのころから、温泉開発の話はあったのだが、地形など多くの問題があり、長い間手がつけられずにいた。
1862年(江戸時代 文久2年)地元の人により温泉場がつくられた。1941年(昭和16年)
峡谷美と柱状節理の地形が見事であるということで、国の名勝・天然記念物に指定された。
1949年(昭和24年)上信越高原国立公園の一部として指定され、温泉街も整備された。
1984年(昭和59年) 2月大規模な雪崩がおき、温泉街の一部を直撃し多くの死傷者をだした。1988年(昭和63年) 7月清津川に沿って、清津峡温泉から八木沢にぬける清津登山道で落石事故があり、以来、この歩道の通行は一切禁止となった。

▶渓谷トンネル建設の経緯
清津峡登山道の通行禁止となって以降、地元や観光客から、柱状節理の峡谷美が見事な場所(屏風岩)を見ることができるようにしてほしいとの要望を受け、環境庁(国立公園担当)、文化庁(天然記念物担当)、新潟県などと旧中里村(現十日町市)との間で検討が始まった。
そこで、
①閉鎖した遊歩道の再開は不可能。
②岩が崩れやすく安全な歩道の整備は困難。
③国立公園内であり、外観を損なう大規模な人工物の建設は認められない。
④国立公園とはひろく国民に利用されることが目的であり、観光資源としてもこのまま放置しておくことはできない。
などのことから、歩道の代替施設として、国立公園としての外観を損なわずに峡谷美を安全に鑑賞することができる「歩道トンネル」の建設が決まった。1992年(平成4年)歩道トンネル建設工事の着工(中里村が事業主体。総工費約20億円)1996年(平成8年)10月
清津峡渓谷トンネルを開坑(川沿いの歩道は、現在も立ち入り禁止)

▶現代美術による再生
開坑後、20年以上が経過する中で入坑者数は年々減少し、年間5万人程度まで落ち込んでいた。こうした状況を打開するため、十日町市・津南町で3年に一度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に合わせてリニューアルした。
2018年(平成30年)4月「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」の作品としてトンネル施設のリニューアルとエントランス施設を新設(作品名「Tunnel of Light」)。
2021年(令和3年)4月「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2021」の新作として第二見晴所に作品を追加清津峡渓谷トンネルの全長は750m。3ヶ所の見晴所とトンネルの終点となるパノラマステーションからは、素晴らしい峡谷美を堪能することができます。特に、終点のパノラマステーションでは、峡谷の景色を水鏡で反転させた幻想的なアート空間が広がります。峡谷美に映えわたる柔らかな新緑、涼やかな清流、鮮やかな紅葉、水墨画のような冬景色。それぞれの季節をお楽しみください。また、トンネル内の所々には清津峡の四季や自然などの成り立ちを紹介するディスプレイコーナーがあります。